SNSの論文の解釈は一次情報だけに頼らず自分で読んで解釈をすること

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最近では、SNSを通じて視聴者に見やすくまとめた情報を発信している人が多いです。それはとても良い事であり実際に私も発信している内の1人です。(かなり時間と労力を注ぎます)

ただ良い情報を発信している中に、はたかもそれを自分で読んだかのように説明する人も多くなっている印象があります。
又は読んではいるけれど概要(abstract)のみで記事の内容を解釈し情報発信としては薄くなりがちな人も見受けられます。
他にも色々ありますがそれは、この記事の詳細で説明させて頂きます。

こういった弊害は受け手の知識がbeginner(クライアントや選手)であれば、発信側(ここではトレーナーとします)は非常に無責任な発言となり最悪の場合はそれによって傷害リスクなんてことも起こりかねません。

有名人だから言っていることが正しい。トレーナーが言うのだから間違いはない。
そういった思考こそとても危険であり、『人が(自分)物事を自分で考えるのを辞めてしまう』落とし穴でもあります。

『世は楽をして情報を売り対価を得ようとする人が増えすぎてしまった。』

このあとにも書きますが、論文とは科学的知見を身につける根本的な部分の証拠となるので一夜漬けのように楽をして手に入れられる内容ではないのです。

泡銭感覚で扱うと信用と一緒にあっと言う間に消えてしまいます。

実際、論文を元に発信している人へ質問や記事のリンク詳細を尋ねると、発信内容と全く異なっていたり、読んだであろう記事の詳細が分からない。忙しい。そんな暇はない。などの回答もありました。(有名な人でもです。)つまりはそう言うことです。マジックのように手の内を見せないやり方はどうなのでしょうか。トレーニングにそこまでのエンタメ性は必要ありませんし悪質だなと感じてしまいます。

同じトレーナーとしてそれが私には理解できないですし、人の体を管理する立場であるならば学ぶことに対しては歩みを止めてはいけないと個人的には思っています。科学は常に進歩しているので現状維持は後退と同義語な訳です。

『この論文テーマはこう解釈したのだけどあなたはどうですか?』
『確かにあなたが思う解釈の方が可能性としては高そうだ!』
『じゃあその可能性に対しての研究を見つけてみるとより整合性はとれそうだ!』
のような議論はアリだと思うし、客観的視点は主観的なバイアスを防ぐためにとても貴重な意見となります。
それをこういう研究もあるからそれは違う。と強く言ってしまうと論争になるのでそれだけは避けたい所です。
論文にはテーマに対して肯定的と否定的な両面を持ち合わせている物もあるため両極端な考えはとても危険です。

ここまでの話で私がどう言った思考や性格のトレーナーなのかをなんとなくでも感じて頂けたかと思います。
簡単に説明すれば、どんな人物かと言うと、先ほど両極端な考えは危険とお伝えしましたが、
『自分の事を好む人と好まない人がハッキリ両極端に分かれるタイプです』危険(リスク)はあるのかもしれませんね笑

もしかするとここまでの内容をご覧になって既に二極化した方もいるかもしれません。

ここまで来てダメそうな人は、遠慮なくページを閉じて頂いて大丈夫です。
むしろここまで読んで頂いただけでも嬉しい限りです。

余談がかなり長くなってしまいましたが、今回は『論文の種類と特性・読めた方が良い理由』をテーマに説明していこうと思います。

論文の種類

①原著論文
②レビュー論文
③ケース報告

目次

①原著論文

一般的に多くの人が見られているタイプ。
なにかしらの研究や実験を行い、それらをまとめた結果を報告する。数としてもおそらく一番多いです。

【原著論文の種類】

1.差を調べる研究
2.相関関係を調べる研究
3.効果を調べる研究

ほとんがこの3つのタイプに分類されます。
記事の内容を読んでどの分類なのかを判断することが必要です。

②レビュー論文

原著論文(一つのテーマに関する)研究結果の多くをまとめて発表されるタイプ。
なのでレビュー論文では、研究自体は行われていません。過去のデータを総括した内容になります。

レビュー論文の種類】

1.記述的レビュー
2.システマティックレビュー
3.メタ分析(解析)

1.記述的レビュー

過去の原著論文を読みそれらをまとめて統計的に記述された内容。

2.システマティックレビュー

記述的レビューと多少類似しているが、もう少し細かく特定のテーマに対して、どの論文の検索エンジンで何のキーワードを使って調べたか、そしてどの情報の部分を介入させるか一定ラインのルールを決めて統計的に記述した内容です。

3.メタ分析(解析)

システマティックに似ていて、類似的な原著論文のテーマにおける効果や結果などを定量的に統計し分析しなおす。
それを更に効果量としてトレーニング手法や効果を数値として記述した内容です。

※論文には、おおよその構成(型)があるのですが、レビュー論文に関しては構成通りではない感じです。
構成については別の記事にて説明します。

レビュー論文については複数の研究をまとめた内容のためエビデンスレベル(科学的根拠)が高い論文とされている

ここで注意して欲しいのが、エビデンスレベルが高いからと言ってレビュー論文だけを読むのではなくそこで引用されている一つ一つの原著論文にもフォーカスして、『この条件の場合はこの可能性が高いな』『この条件の時はこっちの方が良いな』と使い分け出来るとより現場指導での深みや応用が効いてきます。

分かりやすく説明すると、『Tシャツを季節ごとによって使い分けるような感じです。』
夏だと半袖TシャツでOKですが、冬では半袖だと寒さは凌げないので長袖のTシャツを着用します。
Tシャツというカテゴリーの中でも目的と条件によって臨機応変に対応しましょうという訳です。

③ケース報告

一般的な原著論文は複数人数を対象に特定のテーマに対して研究を行うことが多いです。
それに対してケース報告と言うのは、1名あるいは1チーム被験者の練習内容や経過を観察、体力測定の数字を定期的に測定しその結果がどうなったかなどを研究するタイプになります。
この場合の被験者の対象者は、一般的な人物にはあてられず、オリンピック選手で優勝や非常に価値のある特定の人に対してスポットライトが当てられます。こういった対象者は通常よりも希少価値が高いと判断されるケースのためケース報告として位置付けが確保されるのです。
トレーナーからしても選手に対して行われる練習メニューやトレーニング変数の使い分け、試合までのテーパリング等、知り得たい情報が沢山あるので非常に気になる所ではあります。



私がエビデンスに基づくトレーニング指導をする理由

そもそもエビデンスとは?
よく間違えられるエビデンスの意味ですが、エビデンスとは『論文=エビデンス』ではありません!

論文は、エビデンスの中に含まれる『科学的知見』の部分の事を指します。

つまりエビデンスとは、

・論文(科学的知見・手に入り得る最善の研究)
・トレーナーとしての知識・経験・スキル(専門家の経験・知識)
・アスリートの好みやニーズ(患者の価値観・ニーズ)

『この3つをバランスよく考えながら目の前の状況や条件に合わして判断する事』をエビデンスに基づくトレーニング指導と言います。

上記の内容をまとめてお伝えすると、
『あらゆる研究者が長年の年月をかけて導きだした科学的根拠を駆使して、自分なりの見解や他の人の意見を取り入れながら、より洗練した情報を提供出来きるようにするため』私はエビデンスを元に指導することを拘っているのです。

なぜなら、それが『一番効率的かつ効果的で安全性の確保された手段』になるからです。

論文を読めた方が良い理由

論文を読まずに指導している人、今までの内容を見てこれから読まなければと思った人、そしてもう既に読まれている人。
私も含め全ての人に共通して論文について知っておかなければいけない3点があります。

1.自分が欲しい情報ばかり取り上げてくれるかは分からない
2.論文の解釈は視点によって変わる(研究者もしかり)
3.一次情報をそのまま鵜呑みに発信(伝言ゲーム状態)

1.自分が欲しい情報ばかり取り上げてくれるかは分からない

例えば、持久的トレーニングについてInstagramやTwitterなどで情報を掲載してくれている人が、必ずしも同じジャンルで連続的に投稿してくれるとは限らない訳です。
そうなると自分が欲しいタイミングで情報が回ってくることは、そうそうないですし、いつ掲載されるかも分からない状態を他力本願で待ち続けるのは効率的ではないです。それであれば時間をかけてでも自分で調べた方が内容の定着や深みはグッと増すでしょう。
更には、自分がその論文に対しての解釈をSNSで発信すれば、客観的解釈も得られる可能性も生み出すことが出来ます。
そうすることで、そのテーマに対しての整合性はグッと上がりクオリティの高いサービス提供に自ずと変化していくでしょう。

2.論文の解釈は視点によって変わる(研究者もしかり)

例として、ベンチプレスの24週間の研究内容を参考に説明します。

○CTRは継続して24週間トレーニングをするグループに対し
●PTRは3週間の休息を設けまた6週間トレーニングを繰り返すグループです。

※S&Cコーチの解釈内容を参考にさせて頂いています。

そこで結論、解釈されたのが上記の内容になりました。
このように、お互いの解釈としてはどちらも理解が出来るかと思います。

ではこれを初心者とアスリートで考えた時に著者と読者の解釈どちらを選ぶか?もしくは別の視点から探るのか?
はTシャツの話の時のように条件や目的によって変化するはずです。

こういったことから、あらゆる視点での解釈も必要な場合があるため、自分なりの解釈を導くために論文は読めるに越した事はないのです。

3.一次情報をそのまま鵜呑みに発信(伝言ゲーム状態)

1.2で話した内容からも察しがつくように、一次的な情報だけを鵜呑みにしてしまうと、その解釈がそもそもの内容から逸脱していることにさえ気づかない危険性があるのです。それを信じてしまい伝言ゲームのように発信するのは大変リスキーでしょう。そしてこれは『ネームバリューが強い人ほど影響を受けやすい』状態になります。

もしかするとビッグネームの人でさえ誰かからの伝言ゲームで回ってきた情報を発信しているだけかもしれません。
『誰々が言っていたから』は根拠になりません。

私はそれが好きでは無いので必ず『発信源はなにか』『証明出来る物的証拠はあるのか』など気にして実際に調べて考察し判断します。

例えるなら入国審査官と同じ気持ちな訳ですよ。全く知らない人が入国するなんて不安で不安でしょうがないんです。
『怪しいものは持っていないか?』『入国する理由は?』『入国して何するの?』確信がないから質問するのであって、
その証拠となるのが入国審査では『パスポート』なだけです。

なので論文の解釈も入国審査官の気持ちで読む事をオススメします。

論文を読むには、まずは自分で書こうとしてみるのが一番理解が深まるかと思います。
そうすることで構成やエビデンスレベルなども分かってくるでしょう。
私が参考にしている書籍があるのでよければ参考にしてみてください。


論文の読み方について知りたい方はこちらも合わせて読むと理解度は深まると思います。


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