筋力は筋肉量で決まるの?比例はするかもだけど大事なことを忘れている
こんにちは、札幌パーソナルジムMORE大通・バスセンターエリアです。
SNSやYouTubeなどの情報で『筋力は筋肉量で決まる』『比例する』という言葉をよく見かけます。
僕自身もそれに関しては、肯定的な考えです。
筋力と筋肉量(筋横断面積)の間に相関関係がある、というのは科学的にも昔から報告されています。
最近だとフィットネスでも身体の大きな人が高重量を扱う姿を見かけます。
体が大きいのだから重い重量もてるよね?と少しだけ羨ましく見てたりします笑
男に生まれたからには、やはり高重量を扱えると嬉しい訳ですよ!(女性には中々理解はされません…。)
その中でも体は小さいのに大きい人以上に高重量をコントロールする人も中には存在します。
あれ今の話だと体が大きい人の方が重量は扱えるんじゃないの?と疑問に思いますよね。
筋力は筋肉量で決まる?それ以外にも影響される部分はあると考えているので説明していきます。
神経系位の要因
筋肉が動くメカニズムとして、脳からの『動け』指令が出ることによって筋肉が伸長収縮を行います。
この指令にも細かくあります。
多くの筋繊維に命令をだして多くの筋繊維を動かす『recruitment:運動単位の動員』
そしてより強く指令を出すことが出来れば、発揮される力も強くなる『rate coding;運動神経発火頻度』
また、全ての筋繊維がタイミングを合わせて同時に力を入れるように指令を出せれば、更に大きな力を生む『synchronization;運動単位の同期』
これだけの過程を経て一つの筋肉(筋繊維)が働くんです。
つまり筋肉が大きくても神経系のコントロールが上手く機能していなければ、例え筋横断面積が大きかったとしても力発揮は比例してこない可能性があるということです。
一つの筋繊維に対しての神経のコントロール『intramuscular coordination』をいかに上手く出来るかが一つの筋力発揮に求められる要素となります。
他にも多くの筋繊維を動員したい時に、力をいれるタイミングが上手く行かないと筋力は低下してしまいます。
力を入れたい部位に対して逆に力を抜きたい部位(拮抗筋)への神経コントロールも必要です。
これも筋力発揮の低下に繋がってしまいます。
適切な筋肉に適切なタイミングで力を入れるよう命令をして、リラックスさせたい筋肉にはそのような命令をストップするのは神経系の働きであり、それを「intermuscular coordination」と呼んだりします。
一つの筋繊維に対しての神経のコントロール『intramuscular coordination』
力を入れるに対しての拮抗筋の脱力『intermuscular coordination』
これらを踏まえ神経系に対する筋力への影響は測りしれません。
年齢を重ねても伸び代があると言われているのが『coordination』と言われています。
世界的にも有名な室伏選手も同じようなことを話していました。
速筋・遅筋線維の割合
大きく分類して、筋線維は速筋線維と遅筋線維に分類することができます。
前者は、短縮速度が速く、発揮できる力も大きいという特徴があります。
後者は、持久性には優れていますが、短縮速度や発揮できる力は、速筋線維よりも劣ります。
ということは、まったく同じ大きさの筋肉であっても、速筋線維の割合が多い筋肉のほうが、発揮できる筋力は大きくなる、ということです。
単純に筋肉量だけで筋力が決まるかと言われれば、そうですね。とはなりません。
筋肉の形
人それぞれに異なる骨格があります。歩き方も違えば、話し方や笑い方も違います。
それと同様に筋肉も骨格によって付着する箇所や使用頻度が多い少ない等の差異が現れるのは当然のことです。
トレーニングをすれば、強い部位は弱い部位を無意識にカバーしてしまうことも珍しくありません。
それによって発達部位も変化し、体の筋肉のつき方にも人それぞれ特徴が生まれます。
専門的な話をすると、筋肉の形には紡錘筋と羽状筋の2種類があります。
後者のタイプの筋肉は、より大きな力を発揮をするのに適した形をしています。
したがって、まったく同じ長さと太さの紡錘筋と比べると、羽状筋のほうがより大きな筋力を発揮できるポテンシャルがあると考えられます。
また、羽状筋の場合、1本1本の筋線維が太くなると羽状角も大きくなり、腱を介して骨に力を伝える効率は低くなると言われています。
つまり、羽状筋の場合、筋肉量が増えれば増えるほど、それに比例して筋力も大きくなるわけではないのです。
「筋力は筋肉量で決まる」という論理は、少し強引ですね。
まとめ
一つの結論に対し固執すると、選手の目的や方向性にも影響が出てしまいます。
筋力=筋横断面積と決定付けてしまうとリフター選手などで小柄で高重量を扱う選手の説明がつかなくなります。
他にも要因があることを理解して取り組むことが出来れば、トレーニングの幅や思考性が更に養われると思います。
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